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人形 アーカイブ

はじめに その1

子どもたちは「遊び」の中から色々な事を「学び」、成長していきます。

「遊び」は子どもの育成に大切な要素の一つであったはずですが、残念なことに今は子どもたちの遊んでいる姿を目にすることが随分少なくなったような気がします。

そして現在は、「遊び」の道具として多種多様なものが大人から与えられ、子どもたちはその道具を駆使して、結果のみを追いかけているような気がしてなりません。

結果に到達するまでの過程の中に「学ぶ」事が沢山あるはずです。

今回この本の企画をいただいた際にまず感じた事は、ますます国際化されていく世界の中の日本が、あらゆる面でただただ急ぎ過ぎているために見失ってしまっている日本の良さを子どもたちと共に、もう一度見直していただけたらという事です。

私は、幼いときから「人形」と関わりがありました。

というといかにも女性っぽいイメージを抱かれるかも知れませんが、ただ単に父の仕事柄私の身の回りに「人形」の頭や手足、金欄や友禅などの布地、小道具などがあっただけで、それらを使って遊んだわけではなかったのです。

むしろそれらには目もくれず、日が暮れるまで外で遊んでいた腕白な子どもでした。

しかし、私の家は常にお人形製作の指導を受けるために色々な人たち(とくに女性)の出入りが多かった事は確かでした。

そして、それらの人たちが会うたびに実に楽しそうに「人形」をつくっていたのを思い出します。

はじめに その2

その様な環境に育った私がこの「人形」の世界に傾倒し、生涯の仕事とするのに何の抵抗もありませんでした。

そして現在、「人形」をこよなく愛する多くの人びとと共に、また、それらの人びとのために少しでもお役に立てる事をとても幸せに感じております。

では、私の心をこれほどまでにさせた「人形」とは、いったい何なのでしょうか?
日本の人形はその歴史を調べれば調べるほど、外国の人形にはない素晴らしい発展を遂げてきました。

「日本は人形の宝庫である」と言われるほど、日本には沢山の種類の、そして芸術性の高い人形が作られてきました。

私たちの祖先は、この人形を作るために繊細な技術と発想で、幼い子どもたちへの暖かな愛情から、長い年月をかけて数多くの素晴らしい人形を作り出してきました。

元来、「人形」が信仰やまじないの対象として生まれたのは世界共通です。

そこから、子どもたちの遊びに伴う愛玩、そして鑑賞などが入り混じって発達してきたわけですが、日本ではそこに『雛』という特色のあるものが加わって、しだいに世界に類を見ない立派な人形が出来てきたのです。

どこの国にも、様々な人形がありますが、「おひな様」と敬称で呼ばれ、昔も今も国民全体から愛されている例は大変珍しい事です。

また、幼い子どもたちの健康と幸多き将来を祈る、微笑ましい伝統的な人形祭り「ひな祭り」を、今も国民行事として持ち合わせているのは広い世界において日本だけなのです。

今回は、この日本の人形を代表する「ひな人形」を、色々な素材を使い、自由な発想で作るために、参考作品と、その作り方を紹介いたしました。

「ひな人形」を子どもたちと共に作る過程で、われわれの祖先がいったいどのような気持ちで「ひな人形」に接していたかを感じていただければと思います。

優しく心豊かな気持ちで作っていただければ、その「ひな人形」は、きっと二つとない子どもたちの宝物になる事でしょう。

そして子どもたちにとって「ひな祭り」という遊びが、大人の愛の祈りに支えられながら、いつまでも続けられることを願い、本文に入ります。

楽しいひな祭り

待ち遠しいな、ひな祭り♪

皆さんはひな祭りときくと、どんな事を思い浮かべますか?桃の節句、女の子のお祭り、お内裏様におひな様、ひなあられ、白酒、ひし餅、ぽんぽり…。

お正月が過ぎる頃には、もうひな祭りが待ち遠しくなってきますね。

お母さんに「おひな様を早く出して、飾ってちょうだい」と、お願いしている人もいるかもしれません。

さて、大騒ぎをして、おひな様がしまってある箱をやっと出してもらいました。

蓋を開いて、一年ぶりにおひなさまの色の白い、きれいな顔をみるのは、本当にわくわくしてしまいます。

おひな様を飾りますか

皆さんのお家には、どんなおひな様があるのでしょうか?
何段にも高く飾られ、三人官女や五人離子など沢山の人形や、小道具が飾られたおひな様でしょうか。

あるいは、お内裏様がふたり仲良くならんでいるだけのおひな様かな。

ガラスのケースに入った小さなひな飾りもありますよね。

お母さん、あるいはおばあさんが長い間ずっと大切にしてきたおひな様が、今はあなたの大切なおひな様かもしれません。

どんなおひな様でも、お父さん、お母さんが飾るときの気持ちは同じです。

「すくすくと元気にそだってくださいね」そういう思いを込めて、おひな様を飾っているのです。

ひな祭りを

お祝いしましょう!

いよいよ三月三日は、ひな祭りの日です。

桃の節句ともいいますね。

だからおひな様はもちろんのこと、桃の花も飾ったりします。

ひなあられや、ひし餅、白酒をいただいて、家族で楽しく過ごすのもいいし、ちょっとおしゃれして、お友だちの家にお呼ばれしたり、お友だちをお家に呼ぶのもいいですよね。

女の子のお祭りとはいいますけれども、お祭りは、沢山のお友だちと一緒の方が楽しいはずですから、女の子も男の子も仲良く過ごしたいですね。

「私の家にはおひな様がないわ」という人は、今年はちょっとチャンスです。

この本では、色々なおひな様の作り方を紹介しています。

少し難しいかなと思うところもあるかもしれません。

そんなところは、お父さんやお母さんに手伝ってもらいましょう。

ゆっくり、あせらないで作ってみましょう。

ちょっと位、カッコウが悪いものが出来たって、気にしない、気にしない。

一生懸命つくったおひな様ほど、愛着が沸いてくるものです。

今年の三月三日には、是非手づくりのおひな様を飾ってくださいね。

ひな人形とは?

ひな祭りに、ひな人形を飾る―そんなこと当たり前じゃない。

なんて、言わないでくださいね。

ひな人形が一体いつから、どうして飾られるようになったのか、ちょっと調べてみましょうか。

昔々、平安王朝の時代に生きていた宮廷貴族の世界で、ある遊びが登場します。

その時代の作家で、紫式部という人が書いた『源氏物語』の中には、「ひひな」という遊びがよく出てきます。

紫上が幼いころに楽しんだ遊びとして出てくるのです。

同じ時代の清少納言という人が書いた『枕草子』にも、「ひひな」は出てきます。

例えば、「過ぎにしかたの恋しきもの、枯れたる葵。ひひな遊びの調度……」(第30段)
ここでは、色々な小さい食器を並べて遊ぶ、幼い日の思い出が書かれています。

多分、ままごと遊びのようなものでしょう。

今では、「ひひな」というものが、本当はどんな形をしていたのか、はっきりとわかってはいません。

でも「ひひな」という言葉は、おひな様の漢字にあたる「雛」という字の古い言葉(古語)で、鳥のヒナのように小さくてかわいらしい、という意味を持っていたようです。

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